わんちゃん、ねこちゃんの寿命の延長により老犬、老猫として生活する時間も増えてまいりました。年齢換算表はあくまで目安ですが、シニアと呼ばれる生活は生涯の3分の1前後にあたります。
年齢換算表
わんちゃん(小型、中型)、ねこちゃん
1か月 |
2か月 |
3か月 |
6か月 |
9か月 |
1年 |
1年半 |
2年 |
3年 |
4年 |
5年 |
6年 |
7年 |
1才 |
3才 |
5才 |
9才 |
13才 |
17才 |
20才 |
23才 |
28才 |
32才 |
36才 |
40才 |
44才 |
8年 |
9年 |
10年 |
11年 |
12年 |
13年 |
14年 |
15年 |
16年 |
17年 |
18年 |
19年 |
20年 |
48才 |
52才 |
56才 |
60才 |
64才 |
68才 |
72才 |
76才 |
80才 |
84才 |
88才 |
92才 |
96才 |
わんちゃん(大型)
1年 |
2年 |
3年 |
4年 |
5年 |
6年 |
7年 |
8年 |
9年 |
10年 |
11年 |
12年 |
13年 |
12才 |
19才 |
26才 |
33才 |
40才 |
48才 |
54才 |
60才 |
68才 |
76才 |
81才 |
86才 |
92才 |
高齢に伴い増える病気
皮膚疾患
免疫力の低下、皮膚の保水性の低下などにより若齢時には見られない細菌感染、寄生虫感染。
口腔内疾患
歯石の蓄積や、歯周炎、歯根膿瘍、歯の脱落など歯の疾患を抱えている子は非常に多く、シニア期に入る前の麻酔可能な時期の処置が重要です。
骨格系の疾患
代表的なものは、
変形性関節症
肩、肘、膝、股関節の関節軟骨の老化や筋肉量の低下に伴い、軟骨の変形が生じます。歩行を嫌がったり、びっこを引いたり、高いところへ飛び乗れなくなります。
変形性脊椎症
同様の病変が脊椎におこる場合です。歩行の異常の他、排尿・排便の際に、ふらつきが出る、重度になると寝たきりになる。
心臓疾患
小型犬で多い僧房弁閉鎖不全症は加齢とともに、弁の形成異常がおこり血液の逆流が起こります。散歩を嫌がるようになったり、呼吸数が増加したり、咳が増えてきます。
呼吸器疾患
小型犬で多い気管虚脱は気管の軟骨異常といわれておりますが、詳細は不明です。
ガチョウの鳴き声のような咳、吐くようなしぐさの咳がみられます。
腎疾患
慢性腎不全は高齢のねこちゃんによくみられます。進行が遅く、症状が現れるまで時間がかかります。飲水量の増加、体重の減少がみられます。
生殖器疾患
未去勢の男の子のわんちゃんで多いのが前立腺肥大です。便や尿が出にくいなどが主な症状となります。
ホルモン疾患
わんちゃんでは副腎皮質機能亢進症が比較的多く見られます。
副腎ホルモンの過剰分泌により、様々な症状がみられます。多飲多尿、腹部膨満、脱毛、またこの疾患により引き起こされる病気も多く、生涯を通して治療が必要です。
ねこちゃんでは甲状腺機能亢進症がよくみられます。よく食べるけど体重が減っていく、攻撃的になる、眼がギラギラしているなどの症状です。
認知症
わんちゃんでは日本犬に多く、ねこちゃんでも発症があります。
トイレの場所を間違える、昼と夜が逆転する、遠吠えを頻繁にする、異常な食欲亢進など様々な症状が表れます。進行すると歩行が止まらず、同じ場所をぐるぐる回ったり、狭いところから出られなくなったりします。
食事の管理
食事は現在健康な状態であっても、起こりうる疾患に備えた食事を選んでください。
ダックスやコーギーであれば関節に配慮したシニアフード、ねこちゃんであれば腎疾患に配慮したフードなど。
また、フードの硬さ、大きさも年齢に応じて変更していきましょう。
散歩
足腰の弱ってきたわんちゃんにとって、硬いアスファルトを歩くことや坂道・階段を上り下りすることは非常に大変です。
平坦な土の地面をゆっくり歩かせましょう。
またハーネスなどを用いるとより良いでしょう。
また散歩の時間は短めに、回数を増やしてください。
高齢だからと散歩をやめてしまうことは、病気を悪化させる場合もあります。
介護
寝たきりになってしまった場合に気を付けていただきたいこと
褥瘡
寝たきりのわんちゃんには床ずれができます。
ベットには弾力性のあるマットを使っていただき、数時間に1回体位を変えてください。
また褥瘡ができやすい部位(肩、腰、頬)にはタオルをあてがってください。
褥瘡ができてしまった場合は、すぐに病院にお越しください。
高齢の場合、処置が遅れると傷口が治りにくくなります。
関節の硬化
関節の動きが減ってきますと、筋肉が薄くなり関節もかたくなってしまします。
また血流も低下し、血栓の形成を促進させます。
1日4~5回四肢のマッサージ、運動をしましょう。
摂食、飲水
自力での食事が厳しい場合、スポイトや注射器を使った給餌、給水が必要です。
高栄養な流動食がおすすめですが、固形のフードをミキサーで細かくしていただいても結構です。
給与時は頭を上げ、誤嚥しないように気を付けてください。
最後に
高齢のわんちゃん、ねこちゃんの介護は、飼い主様の多大な心労を伴います。
当院では、一時預かりから長期の介護までご協力いたします。
お気軽にご相談ください。